Engineer-in-Austria

オーストリア人女性と国際結婚をしてオーストリアに移住してしまったエンジニアのブログ。

偉い人の理解不足がプロセスを骨抜きに。

「どうしてお前のストーリーポイントはこんなに少ないんだ!?」

うちの会社のソフトウェア開発ではアジャイル開発という手法を用いており、その中で、タスクの複雑さを表す指標としてストーリーポイントというものを使っています。(うちの会社の定義として)

で、そのタスクを完了するとそのポイントを獲得することになります。つまりスキルが高いデベロッパーは難しいタスクがガンガンできるので、相対的に多くのポイントを獲得し、僕のようなニワカは、少しのポイントしか獲得できません、だって難しいの、できないんだもん!

しかし、うちの会社の上層部では、「ポイントは働いた時間と同義である」という社内の定義と異なった理解が主流のようで、僕が先月獲得できたポイントを見て、またコイツはさぼってんじゃねーかという疑いのもと、「どうしてお前のポイントはこんなに少ないんだ!?」という発言が飛び出したのです。

「いや、そうじゃなくてですね、これは…」って聞いてないか…

もちろん、このときにもポイントの定義について説明をしますが、基本的に偉い人はあんまり聞いてません。その偉い人の中ではもう理解が凝り固まっていて、一介のエンジニアが説明してもそのコリはほぐせないわけです。

で、結局どうなるかというと、その偉い人が思うポイントの定義にしたがって、開発の進捗状況、それぞれの仕事の状況をまとめて後日、またプレゼンするということになりました。開発チームの同僚も偉い人の説得を手伝ってくれましたが、最後は根負けして、「わかりました、そのようにまとめて持ってきます」となってしまいました。

どうしたものなのか…

最近はとにかく疲れるので議論をしようとすらしていませんが、心に余裕が出てきたら、社内の開発プロセスの専門家も会議に連れていき、彼に説明させるしかないのかなと思っています。(目には目を、権力には権力を)

ただ、それ以上に思うのは、そもそもエンジニア一人一人がどんな仕事をしているのか、会社の偉い人がチェックすべきことなのか?という疑問です。

確かにリリースの期限が迫ってきて、偉い人の焦る気持ちも分るのですが、そこまでやらんでいいやろ。偉い人だからと言って開発プロセスすべてを知っている必要もなくて、社内のプロセスでこうなってますと説明したら、それを信じていただいて、オレ流の理解の封印していただく。そうしていたただけるだけで大変助かるわけであります。

…というか、そうでないとせっかくのプロセスが骨抜きになるわけで。

何か信用しきれないオーストリアの歯医者

「うーん、異状なし、OK」

昨日、半年に1度の歯の定期健診に行ってきたのですが、30秒ぐらい見て、この一言。なんか早くない?

日本だったら、先のとんがったやつでつっついてみたり、カリカリしてみたりすると思うのですが、うちがいっている歯科医では「目視で確認、そしてヨシ!」ネットで有名になっているネコのような感じの気がするんですね…

確かに医療費タダやけど…

今回の定期検診もタダですが、歯医者に限らず、オーストリアの町医者はいつも忙しいのと、お金がかかる治療をやりたがらない気が・・・

以前に40度近く熱があってかかりつけの町医者に行ったときに、とにかくツラかったんで点滴してほしかったのですが、「症状が重くないから、大丈夫、ヨシ!ハーブティー処方しておいたから、がぶがぶ飲んで、しっかり寝るように。症状が重くなったらまた来てね」という診察結果をいただきました。

もちろん、日本のシステムとオーストリアのシステムの違いは頭では理解しているんですけど、なんかそれでも、もう少しなんとかならんかと。

日本とオーストリア、どっちがいいのか?

うちの奥さん曰く「日本の歯医者に行くと、必ず何か見つけてくるね(笑)」

日本では歯医者はコンビニよりも多く、ひじょーにきびしー競争があって、生き残るために必死で僕の歯の虫歯を探し、そして丁寧に時間をかけて治療しているのですが、一方で、しっかりとメンテナンスされている感はあるわけです。(さすがに歯石のクリーニングぐらい一回で全部やれよと思うわけですが)そしてもちろんお金を払っています。

オーストリアでは確かにタダなのですが、そこまで丁寧にみてるという感じもなく、歯石の掃除などもありません。体のメンテナンスなのだから、ちょっとお金払ってもいいからしっかり見てもらいたいなと思うわけです。(もしかしたらそういう歯医者もあるのかもしれません。)なんでもタダだからいいのかというとちょっとそれも違うんじゃないのかなと思う今日この頃です。

(余談なのですが、オーストリアでこのクオリティということは、ヨーロッパの中でも財政難に陥っている国や、そんなに経済力がない国では何が起こっているのかと想像するだけでも恐ろしいです…これも海外移住のリスクなんやでぇ~)

オーストリアで車を買う

総走行距離18万キロ走ったフランス車、逝く。

オーストリアに移住してから一番長く乗っていたシトロエンのC4 が電装系不具合やフレームにサビが出たりともうそろそろかなと思っていた矢先にエアサスのエアバッグが壊れて、シャコタン状態になってしまいました。(中古で買った時にはすでに14万キロ走ってました)

なんで新しい車を探していましたが、まず一番最初の優先順位は、「フランス車ではないこと(笑)」あまり詳しくは書かないのですが、そういうことなんですよ、フランス車は。ちなみにイタ車も大差ないと思いますね。外観はいいんだけどねー(笑)

フォードのSマックス(アズマックスではありません)

結局そのお世話になっていたディーラーさんに合ったフォードのSマックスを買うことにしました。その子もすでに13万キロ走っていても、お値段1万ユーロ。約120万ですよ。うち、子供3人いるじゃない、だからベビーシートを3つ載せないといけなくてそんな車ってなかなかないんですよ。ほんと、全然お金が貯まりません。

オーストリアらしい出来事が…

新しい車に乗り始めて数日たってあらためてタイヤを見てみると、タイヤがすんごいすり減ってるんですよ、もうこれで走っちゃダメだろってぐらいに。でも購入したときの契約書にはほぼ新品のタイヤもセットですって書いてあったわけですよ。

それをディーラーさんに電話で文句をいうと、「あ、そうですか、じゃあまたうち(ディーラー)まで持ってきてください」

あ、そうですかじゃなくて、そもそもタイヤをしっかりとチェックしてなかったのと、さらに気軽に持ってきてくださいって…こういうクオリティの低い仕事なんとかならんのかなぁと思うわけですよ。まあ現地人のうちの奥さんからしたら慣れたことみたいなのですが、それでもねぇ…

 

オマケのビックリエピソード。

古いシトロエンの車ですが、ディーラーさんでは500ユーロ、約6万円でしか下取りしてくれないということだったのですが、ルーマニア人に1000ユーロで売れました。決して何かをごまかして高値で売りさばいたのではなく、そのルーマニア人曰く、ボロボロでも大丈夫、車をルーマニアに持って帰り(片道16時間ぐらい運転して!)、そこで修理してまたオーストリアに持ってきて使うから。ルーマニアで直せば激安だからね、ガッハハハ!とのこと…なんというたくましさ…

 

辞めたフィラットの残した光と影

突然フィラット辞めちゃう事件のその後…

前回のブログでは、今日辞めます!といういかにも外資系!というエピソードを紹介しましたが、週末を挟み、みんな心の整理をしてきて月曜日から働き始めました。(突然の辞めちゃう事件のブログはこちら↓)

 

engineer-in-austria.hatenablog.com

 

 あれ?やつを言い訳にすれば、みんなハッピーじゃね??

優秀なSWディベロッパーを失ったことで右往左往していた金曜日ですが、今日になって同僚と雑談をしながら、出てきたアイディアがこれ。

「開発の目標が達成できなかったら彼のせいにしよう。」

いやね、死人に口なし状態だし、実際に突然辞めたのは彼なんだけどさ…なんか倫理違反的な(笑)?

 

目標未達成に対して合理的な説明ができるのか?

今のところ年末のSWリリースに向けてみんな頑張っているのですが、フィラットが抜けた以上、達成が困難になってきます。未達成の場合には、上司の上司にもその説明を合理的にしなければならない…

 

このときに、彼のスキルをいい方にちょっと盛って言い訳しちゃうわけですよ(笑)

『あんなに優秀だった人が抜けて、開発チームの開発スピードは目に見えて落ちているが、そんなにすぐに新しい、スキルのある人は見つけられないし、新しく人を入れたとしても2カ月ではそんなに開発に貢献できない。なんで、リリースはするものの、いくつかのフィーチャーは延期させてください。。。』といった感じですよ。

人が辞めることはどうしようもないことので、しかもトルコ支社の人事権はトルコ支社が持っているので、オーストリア本社の誰かを責めることもできない。結局みんな「うーん、不運だったね、まあ少しぐらいはしゃーないか」となるのです。(はずです、そうあって欲しいです)全員がハッピーとはならなくとも、誰かがアンハッピーになることはないはずです。

 

…勘がいい方はもう気付かれたでしょう。このエンドユーザーさんを置き去りした社内政治優先の議論。まあね、これだとなかなかいいものがエンドユーザーさんに届かないわけで。でもこれが現実だったりするわけで。

「フィラット会社辞めるんだって、今日。」

トルコ支社で働く同僚からの突然の報告

昼ご飯を食べ終えたけだるい午後キーボードをパタパタしてそれなりに過ごしていると、開発チームのチームリーダーがあわせた感じで部屋に入ってきて一言。

「フィラット会社辞めるんだって、今日。」

…え?、どういうことだってばよ?朝のすり合わせのミーティングのときには今週と来週のタスクについて計画立ててたじゃん…

どうやら上司ともめてたらしい…

うちの会社では人件費が安いということで、クロアチアやトルコなどに開発センターを作って、そこにどんどん仕事を振っていて、いま僕のプロジェクトのソフトウェア開発もトルコ支社に委託されていました。このフィラットという彼は、うちのトルコ支社で2カ月前から雇われていたソフトウェアディベロッパーで、すぐに僕のプロジェクトに配属され、バリバリと仕事をしてくれていて、チームからの信頼も日に日に増していました。しかし、どうやら彼はチームリーダーとして入社したにも関わらず、プロジェクトの状況などで、結局開発をずっとさせられていたようなのです。

さよならは突然に。

どうやら、チームリーダーになれないと察した彼は転職活動をしていたようで、そしてオファーをもらい、彼の上司といつやめるかのタイミングの相談をしていたら(おそらく朝のミーティングのあとに)、結果としてちょうど月末だしということで、本日辞めるということになってしまったようです。

そんな状況なのでもちろん引き継ぎとかも一切なし。詳細は今まで書いたプログラムを読んでください。今日6時には帰らないといけなくて、PCも返却しないといけないので、できるだけのデータをサーバーに上げます、ごめんね。という怒涛のなんちゃって引き継ぎ作業をうちのチームリーダーと彼との間でしたようです。

海外で働く以上、こういうことは起こるうります。(たぶん北米ほどではないけど)僕がとにかくできることではないのですが、一緒に働いていた人がいなくなってしまうというのは何か悲しいもので、もしかしたら何か彼のためにできたんじゃないのかなぁなとど感傷に浸ってしまいます。